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栞代わりの制作メモ

・ツクールやMMF2などで作ったモノや できるまで

19年9月末フリゲ感想レビューまとめ

ちょっと遅れたけれども、いつものレビュー記事です。
いつも通り、ふりーむに投稿したのに
ネタバレ部分を加筆したものになります。


1,とある学院のとあるおはなしコロ@ころり 様 制作)
合格するにはRPGらしくレベリングが必要!
魔法学校の入学試験にパーティを組む掌編RPG。
レビュー本文へ。

2,たそがれユヴァスキュラ荒咲りゆ 様 制作)
二つに分かれた国の王様と
庶民的な遊びをしつつ、愛される恋愛ADV。
レビュー本文へ。

3,ぼくのかんがえた きみの終末小鳥大亮 様 制作)
強烈な言葉回しに二転三転する、全貌の掴めなさが特徴の
少年が幼なじみに自らの死を自覚させないように
一日を過ごすADV。
レビュー本文へ。

以下、本文に続きます。
190930review1.jpg
1,とある学院のとあるおはなし
コロ@ころり 様 制作)


Ver1.00
クリア時間 14分(BAD)
      +10分(TRUE→NORMAL)
      +24分 (HAPPY)
クリアレベル 7(主人公 TRUE以降)

世界でただ一つの魔法学校に通うため、
入学試験を受けることになった主人公。
先輩にあたる学生4人とパーティを組んで
ピュアフラワーを取ってくる掌編RPG。

本作は仲間になるキャラが魔法学校の学生というのもあって
主に魔法が戦闘の攻撃手段になる。
この魔法には炎風雷氷などの属性があり、
氷なら凍結、雷なら麻痺といった追加効果が付与される。
作中でも説明がある通り、凍結した相手には
雷が3倍ダメージになり(実際にやると4桁ダメージを叩き出し爽快)
水や氷が無効になり、炎風が効きづらくなるといったような
追加効果によって属性の有効度が変わるのが特徴的である。
上手く使えば大ダメージな一方で
3人ほどで氷魔法を唱えて最初で凍結すると
後に攻撃する2人分はノーダメージになってしまったり
氷魔法を凍結させても、炎魔法を唱えて
ダメージを軽減された上で凍結も解除してしまうといった事態も
発生する。追加効果は確率で発生するもののため、
上手く活用するにも運が絡んでくる印象が強い。

本作では魔法がメインウェポンの都合上、
MP管理が重要であり、システム的にも
途中で同行する三人娘はMPが0になると
行動不能になってしまう。
本作の魔法はMPの消費が激しく、
敵がMPを大きく減らす行動をし、
自力で回復できる量はさほど多くない。
それに加えて、回復魔法を誰も使えない。
そのため、HPもMPも回復手段について
アイテムに頼ることになる。
またMP上昇アイテムが上昇値が高く
かなり重要なアイテムになる。
主人公に使うのが一番役立つように思う。

本作はボスを倒せばそのままエンディングの掌編だが
ボスに一直線でたどり着いたくらいのレベルでは
勝てる相手ではなく、回復ポイントを利用して
周囲のザコを倒してレベルを上げながら
一度くらい戻ってアイテムを調達する必要がある。
レベル上げ自体はオートでさくっとザコを倒せるバランスで
得られる経験値も多くかなり楽にできる。
掌編ながらもRPGの基本的な面白さのレベリングを
押さえたバランスである。

本作はエンド分岐があり、
ボスとの勝敗と、ボスと戦わずに
ボスのいるマップの右の方から諦めて帰るかで
分岐する。
ボスに負けるとBAD、二人で勝つとTRUE
諦めて帰るとNORMALに分岐する。
ボスと戦う前に選択肢が出て誰と戦うか
選べるが、誰と一緒に戦ってもエンド結果は変わらない。
4人の中ではアルヴィナがMPが高くて戦いやすい。
HAPPYへの分岐はノーヒントで気づきにくかった。
ボスと戦う前に出る選択肢で、あるボタンを押すと
別の選択ができるので、その状態で勝つと分岐する。

シナリオについて、
同行してくれるキャラが明るめなのでその印象も強いが
最序盤で自分には協力するメリットがないと断るキャラや
試験を諦めるキャラもいて
ところどころにリアルな陰を感じさせる世界観でもあり、
それが一番出ているのが、本作のTRUEエンドのように思う。
それと対照的にHAPPYエンドでは
主人公は学院にめでたく通えるようになるのだが
HAPPYエンドとTRUEエンドのほんの少しの違いというのは
作中で明言されていないもののおそらく、
ある人物の「生かしておけば、ほかにも利用価値がある」という
打算的な判断が含まれており、果たして無事卒業できるのか、
それは分からないような気がする。

掌編ながらもある程度のRPGのレベリングが要求され
凝った属性付加効果や分岐のある一作。
手軽にレベリングをしたい人や
明るいながらもちょっと陰を感じさせる世界観が好きな人向け。


190930review2.jpg
2,たそがれユヴァスキュラ荒咲りゆ 様 制作)
Ver1.00
クリア時間 1時間 (ED1)
      +48分(ED2)
      +21分(ED3,Afterstory)

オイケアとヴァセンの2つに分かれた国の
オイケアの城にて
兵士として働くために強引に城に忍び込み
囚われた主人公だったが、
オイケア国王である黎牙の計らいにより
側近として働くことになった恋愛乙女ADV。

選択肢によって本作はルート分岐し
赤い方を選ぶと黎牙寄り、青い方を選ぶと蓮都寄りで
3回程選択肢が出た後に、多く選んだ方の個別ルートに
分岐する。黎牙ルートに入れば、それ以降選択肢なしでED1。
蓮都ルートに入ると何度かまた選択肢が出て
ここでまたどちら寄りにするかによって
ED2、ED3にそれぞれ分岐する。

主人公の蘭、最初のエピソードから分かる通り
かなりのお調子者である。
城に忍び込もうとしてお尻がハマって動けない
あたりからもコメディ色が強いのだが
王様に会えば自分の境遇に同情して雇ってくれると思って動くも
牢屋に入れられて、正規のルートじゃないならこうなるよね普通。
多分死ぬんだろうなとネガティブな想像を展開する。
一般化すると、自分の都合の良い現実を思い浮かべるも
現実はそうならないことに気づき、思い通りにならない現実に対して
凹むという性格である。
雇ってもらいたくていうセリフも、基本的にお金に困っている、
自分の不幸な境遇を吐露するだけで
あとは何でもするといえば何とかなると思っている。
実に自分本位なキャラで思慮が浅く、
彼女を通しての地の文は、事象に対する彼女の感想が大半であり
恋愛対象にあたる黎牙たちの心情もあまり興味がなく、
それよりも自分の感情を地の文で流している。
例えば黎牙に怒られたときも、彼に悪いことをしたと思うよりも
彼に想い人がいるらしいということに凹み悩む。
恋愛についてもそうで、相手が自分が好きなのかなと思った後で
身分の差があるし、自分なんて釣り合わないよね。というところで
自己完結を繰り返す印象が強い。
本作の恋愛というのは相手をしっかり見ないで
相手の肩書で夢を見ているようなものでもある。

設定上、主人公は王の側近として働くことになる。
忙しいらしい文は度々出てくるのだが、主人公の働きぶりは
あまり具体的に描写されない。
本作で描写されるエピソードは
いっせーのでの手遊び、缶蹴りなどの庶民の遊びを
主人公が黎牙たちに教えて一緒にやるものや
お土産を一緒に食べる、遊園地に遊びに行くなど
現代の遊びの印象が強い。
上流階級の王族らしさを感じさせるエピソードは序盤の舞踏会と
後半の騒動くらいで、非日常として描かれている。
舞踏会で、主人公は自分の場違いさを感じて
ただみじめなだけだったから
それ以降、個別ルートに入るまでは
主人公が楽しめるような展開にしようという意図が
感じられる。しかし、この主人公ができることは
庶民の遊びくらいしかなかったので
現代色が強い日常になった。
本作は、庶民の主人公が王族の世界に適合する話ではなく
その逆の、王族が庶民の主人公に合わせてくれる話である。

主人公の設定、展開から言えることは
とにかく愛されたいのだ。
自分のことばかりでたいして何もできないし
難しいことはよく分からないけど
愛されたい。自分は何もしないでも
無条件に高貴な人に愛を与えてほしい、
自分の日常に合わせてほしい、
受動的に愛を求めている、本作の様々な点から
そんな願望が感じられる。
主人公の実態は、主を支える側近などではなく、
主から愛を与えられるお姫様である。
だけども同時にそんな都合の良いことがあるわけがない、とも
思っている。だから高望みしないで高貴な人間が愛してくれるはずがないと、
自分はそんな現実を分かっている姿勢を見せるのだけども心の奥底で
そういうことが起こらないかなーと待ち望んでいる。
だから、主人公は直接、お姫様にはならずに
形式的には側近という立場になるのだ。
自信も取り柄も全くなくても、ある日シンデレラのように
突然幸せを得ることを
ないとは思っていても望んでいる人は
この主人公に共感できると思う。

ちなみに主人公の実態がお姫様と特に思うのがED2で
一番のハッピーエンドなのだが、
主人公以外のキャラが頑張ることで物事が解決し
主人公はただそれを見ているだけなのである。
そのキャラが頑張った理由に主人公のことがあってもいいはずなのに
主人公のことは一切触れられない。
主人公と関係のないところで物語が進んでいった印象が強く
周りは動くけど自分は動かないで見ているのは
王を支える側近というには程遠く、正にお姫様に思うのだ。
自分本位な性格も誰かを支えるのには向かないし
それを裏付けるように仕事内容が描写されないのも
根拠になっている。

ここで攻略キャラについて記述すると
黎牙は主人公相手に「彼氏いないのも当然か」と
ちょっかいをかけるようなセリフも
多く、ボケツッコミでじゃれあうような関係性で
庶民の遊びではしゃいだり
ちょっと子どもっぽい面もある。
王だけあって、主人公を完全救済するくらいに
財力もある。主人公が「求める者」なら
彼は「与える者」である。冒頭で主人公が言ってた
まさに「同情してくれる王様」である。
ある人物の評した「警戒心を知らず
来るものを拒まない」というのは正にその通りであり
それだけ器の広い人物でもある。
そして配下の蓮都は、黎牙と対照的な人物である。
基本的には物腰は丁寧で大人っぽいが
ある程度、物語が進むと
野心家の一面も出てくるようになる
危険な魅力の持ち主である。
彼は性質的には「奪う者」だ。
バッドエンド寄りではあるがED3は
そんな危険さが最も表出するエンドである。
歪んだ形ではあるがこれも愛する愛されることには変わりない。
ED1、ED2のそれぞれの攻略エンドから
結婚相手としては黎牙、
恋愛相手としては蓮都、という二者のスタンスの違いが
出ているように思う。

側近という形式をとりつつも
王族と庶民の遊びをし、現代的な遊園地に遊びにいって
愛されたいけど、自分なんて場違いだよなと思い悩む一作。
シンデレラなんて現実的でないと思いながらも
内心でシンデレラを期待して、ただ愛されたい人向け。


190930review3.jpg
3,ぼくのかんがえた きみの終末小鳥大亮 様 制作)

Ver1.2
クリア時間 37分(ED3)
      +51分(ED1まで)
      +6分(IF)
      +28分(ED2,CGコンプリートまで)

四季聡と美凪小太郎はある日、誰よりも早く登校する必要があった。
二人は十年来の幼なじみで聡は小太郎に振り回されながらも
彼の話につきあっていた。
――小太郎が眠りについて聡は心の中で安堵する。
今の小太郎は他の誰にも認識できない、死者なのだ。
でも小太郎は自分が生者だと思い込んでいる――

少年が幼なじみに自らの死を自覚させないように一日を過ごすADV。

本作の最大の特徴は、全貌がなかなか掴めないことで
物語全体に霧がかかっている印象でそれが少しずつ小出しに情報が
出てくることで状況が明らかになっていく。
本作は意味深な一文から始まり、
そこから彼らのやりとりが続く。この段階ではまだ
登校中の男子の日常もののような印象を受けるのだが
学校について、小太郎が眠ったときに
小太郎が死者ということが聡の地の文から
プレイヤーにようやく伝わる。
この構成のため、展開も本作に対する印象も二転三転する。
ある程度、話の展開を予想しながら読み進めると
予想を裏切られることが多くて中々楽しめるように思う。

また小太郎のキャラが非常に濃厚で
彼の初っ端のセリフを引用するだけでも
「あっはっは、朝!早すぎ!今何時?6時!
 いやあ、爽やかな朝だこと。絶好の勉強日和でなにより
 なわけねーよ!人は早起きして三文徳するより惰眠を貪る方が賢い!
 なぜなら三文じゃ焼き芋すら買えないから!
 いやしかし一文銭は逆に希少価値があるよね。
 収集家に売れば大儲け?収集家ってどうやって知り合うの?
 あっはっは、十面倒臭い!七面倒くさいじゃ足りない!
 タイミングイズマネー!
 結論、朝は寝るべきである」
これだけでも彼のテンションの高さ、波の変化が伝わるはずだ。
ノリツッコミから始まり、言葉遊びも含めながらも
次から次へと話をいろんな方向につなげていくボキャボラリーの広さ、
こんなに勢いを感じさせるキャラはなかなかいない。
しかも、本作はしっとりめのBGMが多い中で
彼のBGMだけ何か弾けているイメージもあって
初見のインパクトは抜群である。
聡が小太郎を自分の妄想ではなく、幽霊だと思えた理由として
挙げられた
「あの荒唐無稽かつ支離滅裂かつただ面倒な語り口を
僕が生み出せるとは思えない」という地の文があるが
この強烈かつ印象に残る語り口を生み出せる作者は
なかなかいないと思う。小太郎のセリフは
ユニークで彼のキャラを感じさせ、センスがある。
正にコメディリリーフなキャラであり、
こういうタイプのキャラはギャグ補正がかかって
普通なら死なないタイプである。
そして、こういう自由なタイプだからこそ
他の人と接触させないというのは難しく
聡もなかなか苦労する。
本作の序盤は小太郎に振り回される話なのだ。
初見だと途中あたりで小太郎は生きているのか死んでいるのか
だんだん分からなくなってくる人もいるのではないだろうか。
聡が彼に生きていてほしい気持ちにも共感するし
実はドッキリなんじゃないかとすら思うかもしれない。
小太郎のこのキャラは
本作のシナリオに大きな影響を与えた印象がある。

こんな小太郎の死を自覚させないよう、
ところどころの選択肢でエンディングが変わるのが
本作の分岐である。重要選択肢と大きく表示されるところで
分岐しそうな印象だが、それだけではなく
実際はそれ以外の通常選択肢でも選択によってポイントが加算されていて
このポイントの大小でエンド分岐する。
少なければED1、多ければED3、特定の値になるとED2である。
重要な選択肢を間違えればED3に向かう。
この重要な選択肢、本作の趣旨を考えれば正しい方は分かるのだが
本作の特徴と小太郎のキャラで、意外と惑わされるかもしれない。
ED2を見るには選択肢がかなり固定化されるため、
これは自力では厳しい印象である。

1周目の途中あたりで感じたこととして、本作のテーマは
死者の想いではなく、残された者が親しい者の死をどう受け止めるか
にある。問題なのは死者ではなく生者の方なのである。
家に帰るあたりから小太郎はもう自覚してるんだなという印象が
強くなる。いつまでも死が受け入れられないでいるのは
聡の方だと思い始めて、そうして
彼が死んだ踏切で本作はクライマックスを迎える。

※以下 ネタバレ(反転して読む)
小太郎を助けるべく、踏切に飛び込んだ聡。
聡は間に合っていた。死んだのは聡の方だったのだ。
小太郎は聡の死について自責の念に駆られ、
そして、聡のいない日常に強い違和感があった。
かつてのテンションを小太郎は失っていた。
そんな中、小太郎の前に死んだはずの聡が現れる。
再会を喜ぶも、聡の見えている世界は違っていた。
どうやら現実を認識させなければ元の生活もできそうだが
小太郎は聡が自分の生み出した妄想という疑念を抱きながらも
生者と死者の奇妙な日常が始まる。

本作は実は2部構成であり、
最初にプレイするのが聡視点の終末編であり、
終末編のED1の直前で、小太郎視点の創世編が
プレイできるようになる。
創世編は終末編の前日譚にあたる。

実際に死んだのは逆だったという展開ではあるが
テーマ自体は先ほど考察した通りで
小太郎が聡の死をどう受け止めるか、乗り越えるか
という話になる。
聡と比べると小太郎の方がショックの度合いが
大きく、パーカーを被って暗めの表情の立ち絵や
違和感の日常、聡と違って小太郎は聡を自分の錯覚だと
思っている点、などで表現され、創世編は
小太郎で立ち直っていくまでが描かれる。
そういう意味で本作の主人公は、
聡ではなく小太郎のような印象もある。

聡と小太郎は同じ世界にいるようで
実際に見えているものが、二人ともちょっとずつ
違うようである。
それがよく表現されているのが思考文の追加機能で
終末編は小太郎の、創世編では聡の、
思考文が一部分、補足的に追加される。
終末編では、創世編で明かされたとおり、
実際の世界は秋なのを聡に悟られないように
会話を考える場面などが、
創世編では、小太郎が見えている世界を
教えてくれないのに不満を感じている様子などが
追加される。
お互いに認識している世界がズレているのだけど
そんな中で上手く相手に会わせようとしている。
本作はそんなコミュニケーションが
描きたかったようにも思う。
本作の重要な設定でもあるこの要素は
思考文ありでプレイすると
より実感できるように思う。
そして、あるエンディングを見る限りでは
どちらも現実ではなかったようである。


部分的に小出しに情報が出て、二転三転と展開が変わり
全貌がなかなか掴めないドキドキ感があり
死を題材にしているため、切ない物語ではあるが
そこまで暗さや特に湿っぽさはなく
どこか前向きな希望を感じさせる雰囲気がある一作。、
友だちと学校を飛び出して遊んで回って、
日が暮れる頃に、今日も楽しかったみたいな
そういう雰囲気を感じたい人向きでもあると思う。
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