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栞代わりの制作メモ

・ツクールやMMF2などで作ったモノや できるまで

19年6月末フリゲ感想レビューまとめ

かれこれ、6ヶ月で1年の半分も終わりですね。

いつも通り、プレイしたゲームの感想をまとめていきます。
ふりーむに投稿したのとほぼ同一内容ですが
割愛した部分を含む完全版になっています。

1,トヤマと薬売り三叉路 様 制作)
おとぎ話のようで、恋する男の心情を描いた富山情緒溢れる掌編ADV。
レビュー本文へ。

2,ハッピーエンドに花を添えて(猫)milkcat 様 制作)
四季を巡りながら、初々しくもあり不安もありで
ゆっくりとした歩幅で進む、花屋の少女との恋愛NOV。
レビュー本文へ。

3,蒼神怨霊殿~Nightmare of Spiritual Mansion
SHO Games 様 制作)

暗い道中にヒトダマを灯して残機を稼ぎ
肝を試される細かい壁避けが特徴的な弾幕STG。
レビュー本文へ。

4,俺は勇者なんかじゃない彩風悠璃 様 制作)
魔族に支配され、勇者が忌み嫌われるようになった世界で
世界なんかを救わない勇者シルトの長編シリアスRPG。
レビュー本文へ。


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1,トヤマと薬売り三叉路 様 制作)

ver.2.00
クリア時間 30分(本編)
      +6分(富山旅行記)

雪の降る日、人里離れた診療所で
医者のトヤマ先生が語る、とある"病"に侵されて
犯してしまった"罪"の昔話を聞く掌編ADV。

こう書くと田舎で起こった硬派な昔話のような印象を
受けると思うが、身も蓋もない書き方をするのであれば
「医者のトヤマ先生は薬売りの女の子に恋をして
彼女のことばかり考えるようになってしまう。
そして、彼女に会いたいがために医者としてとんでもない事を
始めてしまった」という話である。
つまるところ、本作は男性視点の恋愛話なのだ。

たまたま似たような境遇の女性に出会って、
引き止めたいけど上手く引き止める言葉も思いつかなくて
ずっと彼女のことを考えている。
彼女を呼び出す用事ができたから、ようやく会えたら
彼女の一挙一動を意識してしまってしょうがない。
話を聞けば、どうやら自分のことを尊敬してくれているようだ、
勘違いしてはいけない、これは好意ではないぞと自分に警告する。
しかし、どうにかして彼女の気持ちを確かめられないだろうか。

といった具合の悶々とした男性の恋する気持ちを
詩的表現を挟みながら描写されるゲームである。
自信を持てない男性の心理描写としてリアルに思う。
特に「勘違いしてはいけない、これは好意ではないぞ」あたりは
恋愛感情を抱いた相手の女性に何かしてもらったときに
慎重になるのは経験ある人も多いのではないだろうか。

前半はピュアな話なのだけども、後半になってくると
彼女の顔が表示されなくなり、彼女とのやり取りも少なくなり
彼が彼女に会う口実を作るために、罪深い事を繰り返す。
取次がれなくなったあたりで、彼の行動は
ストーカーじみてきている印象を受けた。
最終的に彼はそのことに関して、最悪の形でその報いを
受けることになる、いや罪を背負うことになるというべきかもしれない。
結末を見たときに、もしかしてこの話って先生の惚気話だったのかなとも
思ったが、どうも彼女はその事実を知らないようなので
複雑でなんともいえない秘密を持った関係になっているようにも思う。
彼女にとっては幸せでも、彼にとっては責任なのかもしれない。

冒頭の彼の父親の話も含め、本作は恋に狂った男の話であり
あくまでも話の中心は男性の心情である。
だから、あまり薬売りの彼女についてそこまで掘り下げられない。
ビジュアルはたしかに可愛らしいのだが
どういう人物かと問われるとそれ以上の説明に困ってしまう。
作中の語で彼女を表現するならきっと"凡庸な女性"だと思う。
そんな"凡庸な女性"であっても本気で恋してしまうのが男性の性というのが
本作のテーマだろう。

文章的な特徴として対句表現が随所に見られる。
"診療所の朝は早い。診療所の外は白い。"
"彼女が膨らませた紙風船。彼女の唇が触れた和紙。"
などがそれにあたる。
それと、病に"侵され"、罪を"犯した"のように
同音異義も意識されていて、言葉遊びが多く
読んでいて面白い表現も多い。
それと題名通り、富山を連想させるような設定が多い。
富山は「雪」が降る場所でもあり、「薬売り」は富山の売薬ネタで
富山の売薬業の基本理念である「先用後利」にも
作中で触れられている。
そして薬を売る際のおまけとして貰えるのが「紙風船」だそうで
富山旅行記の方でも「雪」「紙風船」は出てきたので
このゲームを作って実物を確かめに行ったという流れでできたと思われる。

可愛らしい女の子が目をひき、おとぎ話のようなしっとりとした雰囲気で
シナリオの中心は現実にありそうな、男が女の子に夢中になって暴走するという
対照的な構成が印象的な一作。
恋に慎重な男性や、富山な小ネタを楽しみたい人向け。


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2,ハッピーエンドに花を添えて
(猫)milkcat 様 制作)


Ver 1.04
クリア時間 1時間37分

ひとめぼれなんてないと思っていた会社員の高沢正人は
帰り道に花屋の少女の小夜にじょうろで水をかけられたのを
きっかけに、彼女の花屋によく寄るようになる。
そこから始まる春、夏、秋、冬の一年にわたる
二人の恋愛を描いた恋愛NOV。

登場人物は3人で、主人公の会社員の高沢正人、
花屋の少女の小夜、そして主人公の上司の水野。
春夏秋冬の全4エピソードで構成されているが
春夏は高沢正人の一人称視点のみで
秋冬は場面によってはそれ以外の二人の一人称も描写される形式になっている。

本作といえば、メインヒロインの小夜が非常に可愛らしい。
小動物系の可愛さで、フルボイスを聞いていると
くすぐられてるような感覚にもなるくらい可愛らしい。
清楚で天然なイメージが強いのだけど
時おりするジト目が表情の中では好きだったりする。
また、季節によって髪型や服装もころころ変わる。
髪型はロングにしたりポニーテールになったり
ツインテールになったりもし、
服装はお花屋のエプロン姿もあれば学生服もあり、
夏になれば涼し気なオフショルダーで肩を見せたり
秋には温泉旅行で浴衣姿も見せてくれる。
立ち絵のポーズ差分も多く、よく動いて魅力的になっている。

最初の春のエピソードでは出てきては引っ込むこともあって、主人公に
「あの子は多分だけど倒すと経験値いっぱいもらえるタイプのやつかなー」と
メ○ルスライム的なことを思われていたりもする。
主人公もヒロインもお互いにひとめぼれだから自信がなくて
「つきあって下さい」も買い物か別のことなんじゃないかと
不安にもなって、着かず離れずの微笑ましい関係を見守るのが
主な楽しみ方。
続く夏は最初の方はだいぶあざとい印象がある。
主人公にベッドの上に座ってたり、お兄ちゃんと呼んだり
年上の男の人に花を売っているって表現をしたり
無自覚に主人公を悶々とさせるあたりあざとい。
主人公もオジサンっぽい下心がモノローグに
出てきたなぁと思うあたりで
「その発言はちょっとオジサンがにじみ出てますよ」と
言われているのも印象的に思う。
このあたりから、指が触れた時に手が震えるヒロインの話題が
出てきて、ただ微笑ましい物語というだけでもなくなってきて
本作は夏から冬にかけては、ヒロインのトラウマをどう克服するかが
メインテーマの1つになる。

もう1つのメインテーマとして
印象的なキーワードを拾うなら「嫉妬」だろうか。
さりげなく春の最後を飾る言葉でもあり、
夏でも「少し嫉妬している正人さん(主人公)も
見てみたいんですよね」って可愛いジト目で言うし
秋は別のヒロインの恋愛話がメインで
その感情をメインヒロインはどうも知っているので
内心で嫉妬しているのをモノローグで述べていたりする。
一番、嫉妬が見え隠れするのが秋の印象。
冬は嫉妬はないけど代わりに出てきたのが「ズルい」。
多分枕に(自分ばっかり好きになって)という言葉がつく。
メインヒロインの主人公に対する恋愛感情を示すとともに
内面の不安も表現してて、味わい深い表現だったりもする。

「花を添えて」のタイトルの通り、
春に渡した花の花言葉にメッセージが込められている場面があるが
各話の終わりに花の名前が出てきて、花言葉に大きな意味が込められていることが
度々ある。花言葉についてはおまけのお花ノートに書いてあるので
話を読み終えるごとに見てみるとなかなか趣深い。

ヒロインとの天然だったり小動物だったりする可愛らしいやり取りも多いのだけど
嫉妬やトラウマ克服といったダークな要素もちょっと内包しているのも
特色な一作。
恋愛の初々しさを味わいたい人や、ヒロインの不安やトラウマを受け止められる人に
おススメしたい。

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3,蒼神怨霊殿
~Nightmare of Spiritual Mansion

SHO Games 様 制作)


Ver 1.01
累計クリア時間 2時間42分(Normal アズールB いろんな機体で9回目)
        +2時間10分(Normal マリーA、マリーB、アズールA +6回)
        +1時間16分(Extra アズールB 9回目)
ハイスコア Normal 50,749(マリーB)
      Extra 19,903(アズールB)

霊が大量発生した原因を探るべく神居の森に向かう弾幕STG。

某プロジェクト風弾幕STG。エクステンドとボムに関わる無敵システムである
ヒトダマシステム、高密度弾幕、メリットデメリットの分かれる自機、
あたりが本作の特徴である。

本作のシステムとして、非常に特徴的なのが
一定時間無敵になれるヒトダマシステムである。
ザコ敵を倒したり、ボスのスペルを終了させたときに発生する特殊なアイテムを
ある程度回収することで使えるようになり、集めた度合いによって
三段階に効果時間が変化するシステムである。
この特殊なアイテムは上部回収不可で、落下しきる前に
近づいて回収する必要がある。
無敵になれるシステムではあるが、どちらかといえば
敵を倒した際に小型の敵ならボムの欠片、中型の敵なら主に残機の欠片を
落とすようになるので、これを利用してボムや残機を稼ぐシステムとして
使うことの方が多い。そのため、道中向けのシステムである。
ボムが欲しいなら小型のザコが大量発生する場所、
残機が欲しいなら中型のザコが密集する場所を狙って発動させるのが良く
道中のヒトダマシステム発動のパターン化が重要になってくる。
これを利用してボムを稼ぐこともできるのだが、本作の弾幕の構成上、
ボムを温存すると抱え落ちしやすいので、
残機の欠片を集める方に意識が向くと思う。
残機の欠片を5個集めることにより1エクステンドする(EXは4個)ので
ステージ3までは1体1個しか回収できず、残機を稼ぎにくいが
ステージ4の中型赤妖精、ステージ5の中型青(紫)妖精をこのシステムで倒すと
残機の欠片を1体につき2個落とすので、この2個落とすキャラが密集する地帯で
発動させると、1回で2エクステンドできることもあるので
残機はパターン化できれば、増やしやすくなってくる。
どの段階で発動させるかも重要で、
1段階目で発動させても、自機によっては中型ザコが密集する箇所でも
1体しか倒せないまま、終了することもよくあり、
なるべく特殊なアイテムを集めてから使いたい。
それと、このシステムの効果時間内に倒すことで欠片を落とすため、
なるべく倒す寸前に発動させた方がお得である。

ヒトダマシステムは一応、ボスでも使用はできる。
使用してもスペルは取得できるが、ボスは欠片を落とさず
本作のスペルはクリアするだけなら取得する意味は特にないので
ボス戦ではあまり使うことはないと思う。
ボム代わりに使えないこともないが、ボス戦中にゲージをためるのが
難しいので積極的に使えるものではない。
ただし、6面ボスの最終スペルに関しては話は別である。
6面ボスの最終スペルはボムを無効化し、ボム発動中の攻撃を一切受け付けないのだが
ヒトダマに関しては無敵時間中も攻撃を無効化しない。
6面最終スペルは段階的に攻撃が激しくなっていくのだが、
その最終段階に入るHP1/4を切ったあたりで3段階目のヒトダマを発動させて
そのまま正面に近づいてショット打ち込んでいくと、無敵時間が終わる前に
倒せることが多い。本作の締めとしては良い感じになり、最終スペルが少し楽になるので
こういう使い方も面白いと思う。

本作の弾幕の特徴について、速度はそこまででもないが密度が高いのが特徴。
細かい隙間を見つけて避けていくことが多い。
また、弾で壁を作って、動きを制限するタイプの弾幕も多く、
ボスマーカーがないのも含めて、本作はボスの正面を維持するのが難しい。
避けられそうだけど意外に被弾する弾幕が多く、
事故率の高いものについてはボムを惜しんではいけない。
2ボスの段階で危険を感じたらボムってもいいと思う。
4ボスが手強く、一見実体化してない弾幕に見えるが被弾する黒い弾幕を放つ1枚目、
初期位置をミスると詰み、上手く中に入れたとしても素早く動くことを要求され
弾幕が終わっても拡散する弾に被弾する可能性がある2枚目「シュリケンローテーション」
通常も3枚目も精密な隙間避けを要求するので全体的に油断できず、
一番安定するのが実は耐久スペルという、なかなかの猛者。
5ボスも壁で制限された中での避けを要求するタイプで決して弱くはなく、
6ボスはボスの位置によって曲がる箇所が変わるレーザーや
「シュリケンローテーション」の動きをさせながら更なる避けを要求する弾幕、
背景と区別のしにくい巨大人魂弾幕、重なって不規則に動く音符弾幕
そして耐久スペルを使うため、こちらもかなり手強い。
一番楽なのは左右に弾幕が展開され隙間が分かりやすい「延暦寺の強訴」に思う。

本作の機体は正面がメインのA装備と、拡散がメインのB装備だが
機体によってメリットデメリットが大きく変わってくる。

A装備はヒトダマシステムはやりやすいがボスが苦手である。
ヒトダマシステムの特殊なアイテムは正面ショットだと
そのまま回収しやすく、発動中もショット威力が高めなので
中型のザコを倒しやすくエクステンドしやすい。
ボス戦でボスの位置を把握する必要があり、
3ボスはまだどこに移動したかを見てから維持するポイントを決めればいいため
まだ慣れの問題でなんとかなるが
4ボスのように、通常弾幕展開中も左右に動くボスは弾幕が展開された後に
どこにいるか探すしかなく、正に天敵。
5ボスは壁で制限されている中、壁の向こう側に逃げられるとしばらく手が出せない
3枚目のスペルがあり、6ボスはボス以外の弾源がある通常3で
どこにいるのか分からなくなってくる。
アズールAに関しては高速時は拡散も撃てるため、汎用性はある。
低速ショットがどうもそこまで威力が高くなく
ザコを撃ちもらすパターンが多い。(速攻ができない箇所が多く
もしかしたら接近時のアズールBよりも劣るかも)
マリーAはヒトダマとの親和性が高く、小型の妖精をまとめて倒して
特殊なアイテムを回収しやすいのはもちろん
中型の妖精を貫通して2体まとめて撃破できるため
道中はかなり強い。が、ボスは正面が維持できない場合、かなりの長期戦になる。

B装備はボスには安定したダメージを与えやすいが
ヒトダマシステムを使うのにコツがいる。また、パワーが少ないときは
道中でも使いづらい。パワーが低いステージ1道中やEXの最初が
思ったように敵が倒せない機体であり、使いづらい印象を最初は受ける。
ヒトダマシステムを発動させるアイテムも拡散ゆえに
様々な場所で敵を倒してしまうため、回収するには動き回らないといけない。
ヒトダマシステムを発動させても思ったように火力が出ずに
敵をたいして倒せないまま終了しやすいのだが、
実はB装備は正面をとって近づいたときの火力がかなり高いのだ。
そのため、ヒトダマ発動後、急いで近づくという動作が必要になる。
他方、ボスでは正面を維持する必要がなく、避けに徹することができるのが
最大の利点である。本作は正面を維持しづらい環境のため、
実はA装備よりも短い時間で安定してボスを攻略しやすい。
アズールBは、ホーミングのため、どんな位置にいようが
避けに集中できる。ボムもホーミングで安定している。
思わぬザコを倒しやすく、アイテム回収やEXボスの5枚目では
多少使いづらいのが難点。
マリーBは正面で近づいたときの火力はどの機体よりも高い。
位置取りさえきちんとできればかなりの強機体で
ステージ4の最初の小妖精群は勿論、
ステージ5の円形に動く人魂も位置を合わせれば弾を出す前に
速攻して処理できる。道中でのパターンが特にモノをいう機体。
2ボスの2枚目で近づいてみるとボスのHPの減る勢いが凄い。
が、この火力に慣れすぎると近づきたくなり
B装備の強み、避けに集中しづらくなるのがちょっとした難点。
また、ボムのオレンジバリアはボスに近づかなければダメージを与えられず
ボムの火力は低めなので、ボムを使ってもスペルを終了させられないこともある。

このように、本作ではメリットデメリットが機体によって
様々なのだが、最終的に一番使いやすいのはアズールBに思う。
本作はボスの正面を維持するのが難しい弾幕が多く、
Extraでも同様の傾向が続き、一番安定して生存しやすい機体である。

Extraは早い弾が多く、道中でもボムを惜しまない方がいい。
ヒトダマシステムは、赤も黄色も中型の妖精が残機の欠片を2個を落とし
4個集めればエクステンドする。中ボス直後の赤妖精と
中ボス後の弾列を作る小妖精地帯後の、中型の黄色妖精で
3エクステンド狙える。中ボスは1枚目は事故りやすく
2枚目は不規則へにょりなので決めボム推奨だが
3枚目をボムで倒すと、無敵時間でヒトダマを発動できなくなる。
3枚目はそう難しくないので取得を狙いたい。
Extraボス、通常弾幕は等間隔全方位弾がメインで、
かなり速度が速い通常9だけはボム推奨だが、それ以外は避け切るのもあり。
スペルの傾向としては画面に長時間残り自機に向かう弾やボスを上手く誘導して
避けるパターンが多い。3枚目はその誘導のために正面がほぼ維持できないため
装備Aだとかなりの長時間の戦いになりがち。
また、7枚目、8枚目はかなりの高難度。残機を一気に削られやすいので
ダメージは無効化されるが、ボムの無敵時間でしのぐのもあり。
本作の耐久スペルは通常モードに2枚、Extraに1枚存在するが
いずれも使用者のほかのスペルと比べると、危険なのは最後の5秒くらいなので
終わり際にボム1発で生存できる分、実は温情かもしれない。

本作のBGMは、霊がテーマというのもあって、全体的におどろおどろしいのや
渋い曲調が多いのだが、中盤あたりの実はノリの良い「幽霊少女は君の後ろに」、
そのメロディをスピーディーにした「加速するホーリーナイト」あたりが
結構印象的で好み。

道中のパターン化で残機の数が変わり、弾幕の密度が高く、
避けに集中した方が攻略しやすい一作。
細かい隙間避けも要求されるので、弾幕で肝を試したい
やや弾幕STG中級者向けの難易度に思う。

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4,俺は勇者なんかじゃない彩風悠璃 様 制作)

Ver 1.09
クリア時間 13時間16分(難易度ノーマル)
クリアレベル シルト34、メルシー29、リゼル34、ヴァルツ32

魔族に支配され、勇者が忌み嫌われるようになった世界で
少年時代に旅に連れ出してくれた勇者が死に際に笑顔だった理由を探すため、
シルトは22歳になった日に魔族を殺すことで自らも勇者として旅立つ
シナリオ重視長編RPG。

本作の特徴はとにかく勇者が報われない世界観である。
よくあるRPGでは村を助けたら感謝されるのが定番だが、
このゲームで村を助けたら恨み言を言われ石を投げられ追い出されるほどの
仕打ちを受けるのが基本パターンになっている。
その度に流れるどうしようもない報われなさを表現したようなBGMが
綺麗な曲でもあるのだけど、本作の雰囲気に合っていて
非常に印象に残る。
大前提として、この世界は魔族に支配されており
そんな魔族に対して反抗する者が本作の勇者になる。
そのため、本作の勇者は「現体制への反逆者」なのである。
その上、本作の魔族は権力も戦闘力も強大であり、
少し勇者が立ち寄っただけでも、その村を滅ぼすほど容赦がない。
武器すら持つことも許されない人間ではとても太刀打ちできず
結果、自らの身を守るためには魔族に従うしかなく
魔族に目をつけられるきっかけを作る勇者を大半の人間が忌み嫌う状況が
出来あがっているのである。
人間から「保身」のために忌み嫌われる、勇者サイドのプレイヤーから
すれば人間って醜いなと感じるかもしれないが、勇者たちも例外ではない。
人間から嫌われる以上、食料も薬もロクに手に入らず
「保身」のために殺して奪うしかないという恐ろしい展開も準備されている。
誰もかれもが余裕がなく自分を守るためだったら何だってやる、
本作には人間が「保身」に走らざるをえない世界観でもあると
思う。こんな世界だからこそ、
シルトは世界を救おう、いや、変えようとする勇者ではないのだろう。

本作の大きなキーワードは「絶望」である。こんな世界であり
報われないことが多いのだから絶望しない方が難しい。
そして、その絶望が限界に達するとある現象が起こる。
それが本作の中盤から終盤にかけて大きな意味をもつようになる。
また、1章の終わるあたりで、生きる術も分からず絶望に生きるくらいなら
ここで仕留めた方が優しいという旨のセリフが出てくる。
衝撃的な場面でもあり、終盤までこのシーンを覚えておくと味わい深いと思う。
「絶望」もあれば「希望」も重要なキーワードで、
「絶望」しかないのであれば人は諦観し、むしろ絶望しなくなる。
「希望」がありそうだからこそ、より人は「絶望」するのだと
本作の数多くのイベントで体感することになるだろう。
旅の終着点の勇者にとって最後の希望の街っぽいのも
意味深に思う。

本作は5章構成であり、前半の1~3章くらいは
勇者の立ち位置や、本作の世界観が主題、
後半の4~5章はそんな世界の中でシルトはどんな勇者になるかが
主題に移るように思う。
また章と章の間に小数点表記の章間イベントが存在する。
10分~20分ほどのほかのキャラの視点での物語や回想イベントであるが
意外と重要な伏線が挟まれていることが多い。
ただし、3.5章にあたる勇者クヴァイとの出会いからその最期までの回想は
途中セーブ無しで1時間以上ものボリュームを誇る。
前半の謎の大半が明かされる場面であるので、
じっくりと時間のあるときに心してプレイしてほしい。

本作はさりげない会話の中にも重要な伏線が
含まれていることが多く、それがどういう意味だったかが判明する会話で
以前張った伏線の該当シーンを改めて流してくれる。
そのため、1周プレイするだけでも、伏線が巧みなシナリオなのが
分かりやすいようになっている。
複雑な設定もあるのだがこちらには布石が打たれており
ほかのキャラのイベントで描写してから
同じことがこのキャラに起こっている描写を入れるため
一度に説明せずにワンクッション入れてきて徐々に説明を入れるため、
こちらも非常に分かりやすい。
布石によって先が読みやすい部分もあれば、
意外な伏線で驚かされることもあり、
シナリオの展開のさせ方がなかなかに巧妙である。

システム面について、本作の敵は、敵の外見の種類ごとに
例えば、物理攻撃を反射するが魔法に弱い、状態異常攻撃を行う、
などの特性があり、そのモンスター自体と戦うのは初めてでも
同じ外見のモンスターであれば、どういう特性を持っているか
対処しやすい印象が強い。また、弱点や属性は攻撃対象を選択時に
表示されるので、それに沿って対処していくこともできる。

本作のスキルはスキルツリー方式で、スキルの取捨選択ができるが
戦闘時にコマンドで選択できるスキル(非パッシブ)については
複数回選択して、スキル自体の威力を上げることができる。
これをやらないと、1章は問題なくとも
2章の最初のダンジョンのボスで
弱点をついてもほとんどダメージが入らなくなるくらい
本作の攻略において、必須要素なので注意。
威力を上げたスキルとそうでないスキルでだいぶ威力に差が開く(特に魔法スキル)ので
必ずしも弱点をつくのが有効とは限らない。
特に序盤だと弱点よりも物理攻撃の方が結果として
ダメージが大きいことも多い。
ただし、中盤以降は特定の攻撃を無効化、反射する敵も多く
特に魔法と物理は敵によって使い分けを要求されやすいので
分散させすぎず、一本に集中させすぎずのスキル構成にバランスが必要になる。
ノーマルでプレイする分には、スキル構成に気をつかえば
4章終盤のシルト一人で始まるボス戦を除けば、さほど難しくはない印象。

また、独特なのが本作は敵を倒してもお金が手に入らず
敵を倒すことで手に入る欠片アイテムを消費してアイテムや装備を作るシステム。
倒すと手に入る欠片は各章ごとに同じアイテムで統一されており
どの敵を倒しても欠片は集まるので、特定の敵を狙って倒す必要はなく
敵を倒してさえいれば、アイテムも装備を整えることができる。

各キャラについて ※ネタバレ含むので白字

シルト、勇者らしからぬ勇者。
育ての親に近いマスターですら、障害になるのなら
殺すという容赦のなさから本作は始まっていたりする。
お気楽で自由に生きてそうで、
その内面は無に近くて、クヴァイの笑ったが知りたいからとか、
クヴァイの養子だから、とかそういう理由がないと
実は動かないイメージがあって
そんな無に近くて、誰かについていくしかできなかった彼が
弟子や仲間がついてくるに従って、自分のなりたい勇者に近づいていく
本作というのはそういう彼の物語なんだと思う。
世界を救わない勇者だけど、勇者が掲げる世界を救うって
かなり漠然とした話で、本作で世界を救おうとしたのは
ある意味でシャルロッテになるのだけど
結局それって支配構造を変えるだけの話にもなりがちで
スケールがあまりにも大きすぎて
真剣に考えると非常に難しい話。
それに比べて関わった相手に希望をもたせる勇者というのは
人間一人(彼は人間ではないけれど)でもできそうな
身の丈にあったスケールのようにも思えて
抽象的な「世界を救う」よりも、具体的な「周りの人に希望を与える」の方が
実際にいてほしい感もある。
彼の末路については5章のディスペアの子どもの話が出てきた段階で
それが布石になって、ディスペアである彼も
人の姿は保てなくなるのだろうな、と予想はついた部分で
自分の予想では仲間の前で姿を保てなくなって
(ラスボス戦の途中で倒れたあたりでそうなるんじゃないかと)
仲間がトドメをさす、あるいはメルシーあたりが野生に逃がす
かと思っていた。ただ、彼自身はやり切った感があって
最期まで報われなかったわけではないように思う。


メルシー、本作の間違いなくヒロイン。
きっとシルトが女嫌いじゃなかったら女だったキャラ。
シルトが現実なら、メルシーは理想を
追い求めたようなキャラで
本作の汚い部分を全部シルトが被って
しかもそのことを隠していたから、
綺麗でいられたんじゃないかとも思う。
シルトやクヴァイにも置いてかれているわけで
真実が知りたいと当人は思いながらも
果たして彼はその真実に耐えきれるのかと
不安が残る。シルトはいろんな意味で
「メルシーを守る勇者」でもあった。
本作の結末で一番可哀想なのはシルトじゃなくて彼。
シルトの死に気づいて終わるので
本作がぶつっと途中で物語が強制終了された印象が強くて
シルトの死を受け止めて
「あいつはそういうヤツだったな」とか言いながら
旅に出るとかだったら
綺麗に終わるのになーと初見で思ったものだが
あくまでも彼は守られるヒロインであって
主人公にはなれないから、そういう展開にはならないのかもしれない。


リゼル、シルトの弟子で
メルシーが理想を追い求めるのと同様も
彼も理想に生きるキャラ。
シルトという勇者をどんなことであれ
好意的に解釈し、崇拝する。
彼の場合は勇者に対する妄信かもしれないし
シルト狂信者という方が正しいのかもしれないが。
ただそんな彼が、シルトが実はディスペアという魔族であることを
知ったら、どんな反応だったのか気になる箇所の1つ。
というのも魔族の下で逆らわずに生かされてきた彼が
憎い魔族から助けてくれたことがきっかけでシルトを崇拝しだすけど、
そのシルトもまた憎い魔族だったわけで。
それが発覚した後も、発覚しなかった本編と同様に
虫けらのように殺したんだろうか。
結果的にみると、クヴァイをシルトが殺したように
シルトをリゼルが殺してて
構図としてはかなり似た師弟関係にもなったんだよな。


ヴァルツ、ブロマンス追加要員。
リゼルのルアーで流れてきたところを釣るという
都合上、必要になったから強引に加入させた感が強い。
話が重くなりすぎるのをBLで緩和するコミカル目的もあり
シルト、メルシー、リゼルの三人だけでは不安だから
背中を見守ってくれる大人なサポーターが必要とか
シナリオ上にも必要なキャラでもある。
あんまり掘り下げはないけど、
それもサポーターゆえの役割を担っているからに思う。


エルザーガ、美を掲げる魔王。
てっきり、彼もディスペアがいて
シルトに比較的好意的でどこか呑気なオリジナルと
グレンと対面した勇者狩りやってるシリアスなディスペアと途中まで思っていたら
両方とも同一人物だった……。
オリジナルの方は魔王だけど
魔王を倒すゲームじゃなさそうだからラスボスにはならないだろうなぁ、
勇者狩りやってる方は強敵で出てきそうって思ったら
彼と直接対決することもなくて、5章でまさかの仲間入りして
本作のラスボス相手に良い活躍する。
きちんとした勇者を求めているけど
そういう勇者が欲しいなら、この魔族があまりにも好き勝手してる状況を
魔王として管理するとか何とかして欲しいような、と思うことも度々。
なんだかんだで、牧場でシルトが全部俺がやったことだって
言った段階で勇者狩りとして狩らなかったあたりは
魔王の器ではあった。


ルリジサ、魔王軍の幹部の一人にしてオリジナルシルト。
部下は好き勝手やってたけど、本人は悪いことはほぼやってる描写もなく
2.5章で初登場したときも意味ありげな悪役感はあって
他の教会関係者に化けて潜入して探りを入れていたり
どこか静かな喋り口調に知的そうなイメージがあって、
個人的に本作で一番好みのキャラでもある。
4章以降の後半でシルトが困ったときに助けに来てくれる
と書くと増々良いキャラの印象しかない。
さりげなく戦闘時のスキルが
バフかけるのが多くて、ほかの人に手助けするのに
向いてるのかもしれない。
4章のときに「二度と会わない」と言いながら
5章で「『絶対に』二度と、とは言ってない」と言って
助けてくれるあたり、内心シルトのこと好きでしょうがないんじゃない説が
ちょっとだけある。
シルトという名前にはこだわらないで、あれは過去のことみたいに
言ってるあたりが今のシルト(ディスペア)にも通じる部分にも思う。
ただ、シルトは報われない世界を諦めてる感があるのに対して
ルリジサは報われない世界に復讐したかったっていうのが
この二人の対比として面白いところ。
それで魔王軍の幹部になるってどういう物語があったのか
なかなか気になる。
ただ4章でシルトと関わって綺麗にスッキリしちゃった感もあって
以降は「ルリジサさんハッピー」も使っているくらい
案外、本作の中では一番幸せになった人かもしれない。


勇者が基本的に報われない、シビアな世界観で
どんな勇者になりたいのかを探す、自分はどうありたいかを探し求める一作。
舞台自体は中世ファンタジーだけども
保身ばかりの世界というのは現代に通じるリアルさがあって印象的に思う。
他人の為に頑張って行動するも日頃報われないと感じている人や
今の世の中、世知辛いなぁと感じる人は共感しうるものが
本作にはあると思う。
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